本当に、会えたでしょう?

何度か、会社の飲み会で彼女が飲んでいる姿を見たことはありましたが、私がイメージしていたよりも、ずっと彼女はアルコールに強いようでした。私よりもずっと早いペースでどんどん飲んで行きます。それなのに変に酔っている感じはしませんでした。

私も彼女につられて、いつもより早いピッチで飲んでしまいました。私もそれほどお酒に弱いわけではありませんが、このままではかなり酔ってしまうことになりそうです。

そこで、少しペースを落とそうとしたのですが、彼女はさらに追加で私の分まで注文してしまいますので、飲まざるをえません。

幸いなことに、その日は金曜日でしたので翌日のことを考える必要はありません。しかし、親しい部下とはいえ、あまり飲みすぎるのは良くありません。 それに、SNSの彼女から連絡が入っていたら…と考えると、あまり飲む気にはなれませんでした。

しかし、その席では完全に彼女に主導権を握られていましたので、私は逆らうこともできず、ただお酒を飲み続けることしかできなかったのです。

彼女の思惑は一体なに?

この段階になっても、正直彼女の考えていることがわかりませんでした。形としては、私にフラれてしまったことになるのに、なぜこんなに上機嫌でお酒を飲み続けることができるのかもわかりませんでした。やけ酒のようにはとても見えません。 そんなことを考えているうちに、私もアルコールが効いてきて、徐々に気持ち良くなってしましました。

この店に入って、気づけが3時間ほどが経っていました。そこで、ようやく彼女の手が止まりました。ようやく帰ることができる…そう思ったのですが、彼女はまるでそんなつもりはないようです。すぐに次のお店を探しましょう、と言うと、スマホを取り出してなにやら調べはじめたのです。

さすがに、ちょっと呆れてしまいましたが、ここで無理に帰るなんて言い出すことはできません。そんなタイミングで、また私のスマホがポケットの中で揺れました。こんな時間に来る通知といえば、SNSのものしかありません。

もしかすると彼女かもしれない…そう思うと、今すぐにスマホを取り出して確認したくなってしまいます。ですが、彼女の前でSNSをチェックするなんてことはさすがにできません。とにかく、早く解放されることを願うばかりです。

そんなことを考えていると、彼女は次の店の目星をつけたようで、私を促します。そこで、私も覚悟を決めました。今日はとことん彼女に付き合うことにしたのです。

外に出ると、時間を考えると当たり前ですがもう真っ暗になっていました。彼女と並んで歩いていると、突然腕を絡めてきました。あまりもその動作が自然でしたので、私はどうすることもできませんでした。

「本当に、会えたでしょう?」

唐突に彼女は言いました。何のことだかわからず、私が答えることができずにいると、彼女は続けて言いました。

「スマホ、見てください」

まさか、と思い、慌ててスマホをチェックすると彼女からのダイレクトメッセージの通知がありました。それを開くとそこにはたったいま彼女が言った言葉は表示されていました。

『本当に、会えたでしょう?』

SNSの彼女は目の前にいる彼女だったのです。あまりにも驚いてしまった私は言葉もでません。そんな私を見て彼女は悪戯っぽく笑いました。

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